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SRL持分譲渡 2026年: 完全法的ガイド
SRL持分譲渡: 2026年完全ガイド
持分(社会的持分)の譲渡は、ルーマニアのSRL(有限会社)にとって最も一般的な法的手続きの一つです。会社全体を売却する場合でも、新しいパートナーを迎え入れる場合でも、このプロセスには厳格な法的条件の遵守が必要です。2026年を見据え、ルーマニアの会社法、民法、税法に基づいた詳細かつ実践的なガイドを提供します。
持分譲渡とは何か?その重要性
持分譲渡とは、持分の所有権をあるパートナー(譲渡人)から別の者(譲受人)へ移転することです。この行為は、SRLの所有権構造に直接的な影響を与えるため、慎重な検討と法的遵守が不可欠となります。譲渡の理由は多岐にわたります。例えば、現パートナーの事業継続意欲の喪失、新たな投資家の引き入れ、事業拡大のための資金調達、相続計画の一部としての持分移転などです。
譲受人は以下の場合があります。
- 既存の他のパートナー:これは通常、会社運営の安定性を保ちつつ、所有構造を調整する目的で行われます。
- 第三者(自然人または法人):通常は外部からの新規投資家を指し、新しい資本や専門知識を会社にもたらす可能性があります。国内外を問わず、様々な国籍や法人格を持つ者が譲受人となることができます。
- ルーマニアまたは海外の人物:SRLは外国籍の個人または法人によっても所有されることが一般的です。
持分譲渡は単なる所有権移転に留まらず、会社のガバナンス、財務状態、将来の事業戦略にも大きな影響を与えるため、その法的プロセスを正確に理解することが重要です。
法的枠組み:主要な法令と関連規定
ルーマニアにおけるSRL持分譲渡は、以下の主要な法令によって規定されています。これらの法令の条項を正確に理解し、遵守することが、法的に有効かつ安全な譲渡を保証するために不可欠です。
- Legea 31/1990 — 会社法(改正版)。特に、持分譲渡に関する第62条および第202条以降のSRLに関する規定が重要です。この法律は、譲渡の条件、パートナーの同意の要件、優先購入権(先買権)の規定、譲渡手続きの原則を定めています。2026年においても、この法律は会社法の中心的な位置を占めると予想されます。
- Codul Civil (Legea 287/2009) — 民法典。売買契約に関する一般原則が適用されます。持分譲渡契約は一種の売買契約であるため、契約の有効性、当事者の義務、契約違反に関する規定など、民法典の一般原則が補完的に適用されます。特に、契約の形式、合意の原則、錯誤・詐欺・強迫などの瑕疵に関する規定は重要です。
- Codul Fiscal (Legea 227/2015) — 税法典。譲渡による利益に対する課税(個人所得税、法人税)、VATの取り扱いなど、税務上の影響を規定しています。個人のキャピタルゲインに対する課税、法人の利益計算への影響、そしてCASS(健康保険拠出金)の計算方法などは、この法律に基づいて行われます。
- Legea 265/2022 privind registrul comerțului — 商業登記所に関する新しい法律。2022年後半に施行されたこの法律は、商業登記所への登録手続きや関連文書の要件を定めています。持分譲渡の商業登記所への登録は、この法律の規定に従って行われる必要があります。この法律は、手続きの効率化と透明性の向上を目的としています。
- Ordinință de Urgență a Guvernului (OUG) — 政府緊急政令。会社の関連手続きに影響を与える可能性のある追加の規制を導入することがあります。特定の経済状況や緊急の必要性に対応するために発行されるため、常に最新のOUGを確認することが重要です。
これらの法的枠組みを理解することは、譲渡プロセスの透明性と合法性を確保するために不可欠であり、紛争のリスクを最小限に抑えることにつながります。
譲渡の条件:パートナーの同意と先買権
SRLの持分譲渡は、譲渡の相手方によって異なる厳格な条件が設定されています。特に、その核心となるのはパートナーの同意と先買権の尊重です。
1. 先買権(Dreptul de preempțiune)とパートナーの同意
Legea 31/1990, 第202条(2)および(3)に基づき、第三者への譲渡には以下が必要です。
- 他のパートナーの同意: 資本金の4分の3を代表する他のパートナーの書面による同意が必須です。この同意は、総会決議の形を取るのが一般的です。この規定は、SRLが閉鎖的な組織であり、パートナー間の信頼関係が重視されるという特性を反映しています。
- 既存のパートナーは先買権(購入の優先権)を有する: パートナーは、譲渡人が第三者に提示したのと同等の条件で持分を購入する優先権を有します。譲渡人は、まず既存のパートナーに持分購入の機会を与えなければなりません。この権利は、会社の所有権が外部に流出するのを防ぎ、既存のパートナーの支配権を保護するために設けられています。先買権を行使するための期間は、通常、定款または合意によって規定されますが、一般的な慣行では通知後30日とされています。
- 設立証書(Act Constitutiv)の規定: 設立証書に上記の条件とは異なる、より厳格な条件が規定されている場合、それに従う必要があります。例えば、100%の同意を要求する、特定のパートナーにのみ先買権を付与する、といった特別な条項が盛り込まれていることがあります。譲渡に際しては、必ず最新の設立証書を確認し、その規定を遵守しなければなりません。
2. 同意が不要な一般的な例外 (Legea 31/1990, 第202条(4))
特定の状況下では、パートナーの同意や先買権の適用が緩和される場合があります。
- パートナー間の譲渡: 既存のパートナーから別の既存のパートナーへの譲渡は、原則として自由です。設立証書に別段の規定がない限り、他のパートナーの同意は不要とされます。これは、会社の所有権構造が外部に変化しないため、信頼関係の既存の枠内で解決されると見なされるためです。ただし、設立証書でパートナー間の譲渡についても特定の条件(例:特定のパートナーへの通知義務)が設定されている場合もありますので、確認が必要です。
- 配偶者/親族への譲渡: 配偶者、直系血族(例:子、親)、または側系血族の一部(例:兄弟姉妹)への譲渡は、原則として自由または条件付きで認められることがあります。家族経営の場合に事業承継を容易にするための規定です。ただし、この場合も設立証書の規定が優先されます。設立証書で親族への譲渡に対しても同意を要する、あるいは一定の条件を課す旨が定められている場合は、それに従う必要があります。
これらの例外規定は、SRLの柔軟性を高める一方で、設立証書の詳細な確認の重要性を強調しています。
手順(ステップバイステップ):ルーマニアにおけるSRL持分譲渡プロセス
ルーマニアの商業登記所(Oficiul Național al Registrului Comerțului – ONRC)への登録を含む持分譲渡プロセスは、以下の明確なステップに沿って進行します。各ステップには特定の要件と期限があり、その遵守が不可欠です。
ステップ1: 事前確認とデューデリジェンス (Due Diligence)
譲渡プロセスを開始する前に、徹底的な事前確認を行うことが、将来的な問題を回避するために不可欠です。
- 設立証書(Act Constitutiv)の確認: 最新版の設立証書を入手し、持分譲渡に関する特別条件(例:同意の要件、先買権の詳細、譲渡金額の評価方法など)を確認します。設立当初から何度か変更されている場合があるため、必ず最新の統合版(act constitutiv actualizat)を確認することが重要です。
- 先買権条項の有無の確認: 上記のLegea 31/1990第202条の規定に加え、設立証書に先買権に関する追加または修正条項がないかを確認します。
- 持分の評価: 譲渡される持分の公正価値を決定するために、専門家による評価(会計士、評価会社)を検討します。評価には、会社の流動資産、負債、将来の収益見込みなどが考慮されます。
- 会社の法的・税務状況の確認: 譲渡人は、会社の既存の法的紛争、未払いの税金や債務、契約上の義務など、譲受人に影響を与える可能性のあるすべての情報を開示する必要があります。譲受人側も、潜在的なリスクを特定するために独自の法的・財務的デューデリジェンスを実施することが賢明です。これには、登録証明書、過去の財務諸表、監査報告書、契約書、訴訟履歴などが含まれます。
ステップ2: パートナーへの通知と先買権の提供 (Notificarea și Oferta de Preempțiune)
第三者への持分譲渡の場合、Legea 31/1990第202条(2)に従い、通知プロセスが開始されます。
- 譲渡の意向の通知: 譲渡人は、譲渡の意向、譲渡される持分の数、提示されている譲渡価格、および潜在的な第三者の詳細を、他のすべてのパートナーに対して書面で通知します。通知は、受領の証拠が残る形(公証人による通知、書留郵便、宅配便など)で行うべきです。
- 先買権行使のための期間: 通知後、他のパートナーは通常、通知の日から30日以内に先買権を行使するかどうかを決定する必要があります(設立証書に異なる期間が定められている場合を除く)。この期間内にパートナーが先買権を行使しなかった場合、または明示的に拒否した場合、譲渡人は第三者への譲渡を続行できます。パートナーが期間内に行使の意向を示した場合、譲渡人はそのパートナーに対し、第三者に提示したのと同条件で持分を売却しなければなりません。
ステップ3: 譲渡契約書(Contract de Cesiune Părți Sociale)の作成と締結
法的拘束力のある譲渡を実現するために、書面での契約書締結が必須です。
- 譲渡契約書の作成: 契約書は、ルーマニア語で作成され、当事者の完全な身元、譲渡される持分の詳細(額面価格、数、会社資本における割合)、譲渡価格、支払条件、譲渡の実行日、およびその他の関連する条項を明確に記載する必要があります。
- 公証の要件: 多くの弁護士は、将来の紛争を避けるため、特に外国籍の当事者が関与する場合や金銭的価値が高い場合、譲渡契約書を公証することを推奨しています。公証は、契約書に署名する当事者の身元と署名の真正性を保証します。ただし、ル-マニア法上、持分譲渡契約書自体の公証は必須ではありません(通常の私文書で足ります)。
- 重要な条項:
- 保証 (Garanții): 譲渡される持分が自由に譲渡可能であり、抵当権やその他の負担がないことの保証。
- 表明 (Declarații): 譲渡人および譲受人の法的地位、会社の財務状態、未解決の紛争に関する表明。
- 責任 (Răspunderi): 虚偽の表明や保証違反の場合の損害賠償責任の範囲。
- 秘密保持 (Confidențialitate): 譲渡に関する情報の秘密保持。
- 紛争解決 (Soluționarea Litigiilor): 契約に関する紛争を解決するための管轄裁判所または仲裁条項。
ステップ4: 株主総会決議(Decizia Adunării Generale a Asociaților)と設立証書の変更
SRLの組織構造上、持分譲渡はパートナー総会の承認を必要とします(第三者への譲渡の場合)。
- 株主総会の招集と決議: 譲渡の法的承認のため、パートナー総会が招集されます。第三者への譲渡の場合、資本金の4分の3を代表するパートナーの同意(Legea 31/1990, 第202条(2))が必要です。会議では、譲渡の承認、新しいパートナーの承認、および設立証書における資本金の配分とパートナーリストの変更が議論され、決議されます。
- 設立証書の変更 (Act Constitutiv Actualizat): 譲渡によって会社のパートナー構成と持分比率が変更されるため、設立証書の関連条項(通常はIV章「資本金と持分」およびVIII章「パートナー」)を更新する必要があります。これは、最新の会社構造を反映した「統合版」の設立証書として作成されます。
- パートナーリストの更新: 新しいパートナーを含む、会社の現在のパートナー全員とその持分比率を示す新しいリストを作成します。
ステップ5: 商業登記所(ONRC)での登録
譲渡の効力を第三者に対して発生させるための最終的な手続きです。
- 提出書類: 以下の書類を会社の所在地を管轄する商業登記所に提出します。
- 商標登録申請書 (Formular-tip de cerere de înregistrare)
- 譲渡契約書(またはその公証されたコピー)
- 株主総会議事録(またはパートナー総会決定書)
- 更新された設立証書(統合版)
- 新しいパートナーの身分証明書(個人の場合)または登録証明書(法人の場合)のコピー
- 新しいパートナーの自己宣誓書(Declarația pe proprie răspundere a noului asociat):特に、新しいパートナーが他の会社で役職を持っているかどうか、犯罪記録がないかどうかなど、Legea 31/1990で定められた要件を満たしていることを証明するためのもの。犯罪歴に関する宣誓書は、公証役場にて作成されるのが一般的です。
- 必要な登録料の支払い証明
- 期限: 株主総会決議の日から15日以内に商業登記所に提出する必要があります(Legea 265/2022, 第122条)。この期限を過ぎると、追加料金が課される可能性があります。
- 登録の公示: 商業登記所での登録が完了すると、譲渡は第三者に対して効力を生じます。ONRCは、公式ウェブサイト(Monitorul Oficial al României)でこの変更を公示します。
ステップ6: ANAF(ルーマニア国家税務管理局)への通知と税務申告
税務上の義務を履行するための手順です。
- 税務当局へのパートナー変更の通知: ONRCでの登録後、会社は税務当局(ANAF)にパートナーの変更を通知する必要があります。通常、ONRCが自動的にANAFに情報連携を行いますが、会社側でも必要に応じて「Declarația 150」などの変更届を提出することが推奨されます。
- 譲渡益に係る税務申告書の提出:
- 譲渡人(個人): 譲渡による利益が発生した場合、翌年の5月25日までに「一括申告書 (Declarația Unică)」を提出し、所得税とCASS(健康保険拠出金)を申告・納付します。
- 譲渡人(法人): 譲渡益は、法人の課税所得に含められ、通常の法人税または小規模企業税の計算対象となります。
税務上の影響:譲渡人・譲受人それぞれの義務
SRL持分の譲渡は、譲渡人(売主)と譲受人(買主)双方に異なる税務上の影響を及ぼします。
譲渡人(売主)の場合
居住者個人
ルーマニアの税法(Codul Fiscal, 第94条)に基づき、個人が持分を譲渡して利益を得た場合、キャピタルゲインとして課税されます。
- CASS (Contribuția la Asigurările Sociale de Sănătate - 健康保険拠出金):
- 年間所得がルーマニアの最低賃金の6倍を超える場合、所得の計算根拠(baza de calcul)に10%のCASSが課されます。
- 年間所得が最低賃金の12倍を超える場合、所得の計算根拠に10%のCASSが課されます。
- 年間所得が最低賃金の24倍を超える場合、所得の計算根拠に10%のCASSが課されます。
- CASSの計算根拠の上限は、譲渡益の額に関わらず、年間最低賃金の24倍(2026年時点の最低賃金による)となります。
- 一括申告書 (Declarația Unică): 譲渡による所得は、翌年の5月25日までにオンラインで提出される「Declarația Unică」を通じて申告され、納付されます。
計算例(2026年の最低賃金が3,600 RONと仮定する場合)
譲渡価格: 50,000 € (約 250,000 RON - 1€=5RON 仮定) 額面価格: 200 RON (取得費用) 課税対象利益: 250,000 RON - 200 RON = 249,800 RON
税金 (10%): 249,800 RON × 10% = 24,980 RON
CASS (10%):
- 2026年最低賃金: 3,600 RON
- 最低賃金の6倍: 21,600 RON
- 最低賃金の12倍: 43,200 RON
- 最低賃金の24倍: 86,400 RON 譲渡益 249,800 RON は最低賃金の24倍(86,400 RON)を超えるため、CASSは24倍を上限として計算されます。 CASS: 86,400 RON × 10% = 8,640 RON
総税額: 24,980 RON (所得税) + 8,640 RON (CASS) = 33,620 RON
法人
譲渡人(売主)が法人の場合、譲渡で得られた利益は、会社の通常の営業利益と同様に、以下のいずれかの税制に従って課税されます。
- 法人税16%: 通常、年間売上高が50万ユーロを超える大企業に適用されます。譲渡益は、その他の収益とともに会社の課税所得に含められ、16%の税率で課税されます。
- 売上高に対する税金1%(小規模企業「microîntreprindere」の場合):年間売上高が50万ユーロ以下の小規模企業に適用されます。この場合、譲渡益は課税対象とならず、単に総売上の一部として扱われ、総売上に対して1%(従業員がいる場合)または3%(従業員がいない場合)の税金が課されます。このため、microîntreprindereにとって持分譲渡は税制上有利な場合があります。
譲受人(買主)の場合
- 取得時における直接的な税金は課されない: 譲受人は、持分を取得する行為自体に対して、直接的な所得税やキャピタルゲイン税を支払う義務はありません。
- VAT (付加価値税): 持分の譲渡には付加価値税(TVA)は適用されません(Codul Fiscal, 第292条(2) a))。投資目的の株式や持分の譲渡は、VATの適用範囲外と見なされるためです。
持分の評価:公正な価格設定の重要性
持分の譲渡価格の決定は、税務上の問題や潜在的な紛争を避ける上で極めて重要です。特に、関係者間での譲渡(例:親子間、関連会社間など)や、不当に低い価格での譲渡は、税務当局から課税逃れと見なされるリスクがあります。
評価方法
- 額面価格 (Valoare Nominală)
- 設立証書に記載された各持分の価格。これは通常、定款上の最低価格であり、会社の真の経済的価値を反映していないことが多いです。税務上では、これが譲渡の「基準価格」とされることが多いため、非常に重要です。
- 帳簿価格 (Valoare Contabilă)
- 会社の純資産(資産合計から負債合計を差し引いたもの)を総持分数で割ったもの。これは、会社の貸借対照表上の価値を反映しており、一般的に額面価格よりも現実的な評価額となります。
- 計算式:帳簿価格 = (総資産 - 総負債) ÷ 発行済持分総数
- 市場価格 (Valoare de Piață)
- 独立した評価によって決定される、企業の公正な経済的価値。これは、類似の企業の最近の取引価格、業界の動向、企業の将来の成長見込みなどを考慮して決定されます。専門の評価会社によって算定されるのが一般的です。
- DCF法 (Discounted Cash Flow - 将来キャッシュフロー割引法)
- 企業の将来のフリーキャッシュフローを予測し、適切な割引率で現在価値に換算して評価する方法。特に成長性のある企業や、将来の収益が重視される企業に適しています。この方法は、企業の将来の可能性を評価に反映させることができます。
過小評価された価格への注意とANAFのリスク
ANAF(ルーマニア国家税務管理局)は、特に以下の状況で譲渡価格を精査する可能性があります。
- 帳簿価格を大幅に下回る譲渡価格: 譲渡価格が帳簿価格や独立した評価による市場価値を大幅に下回る場合、ANAFはこれを「隠れた配当」と見なしたり、「市場原理に基づかない取引」として、市場価格に基づき譲渡益を再計算し、追加の税金(所得税、CASS、法人税など)と罰金、遅延利息を課す可能性があります。これは、Codul Fiscalの価格移転(transfer pricing)に関する規定や、一般租税手続法(Codul de procedură fiscală)の反租税回避規定に基づいて行われる可能性があります。
- 関連当事者間取引 (Tranzacții între părți afiliate): 親子会社間や関連する個人間の譲渡の場合、税務当局は取引価格が「アームズレングス(独立企業間)原則」に準拠しているかどうかを厳しくチェックします。市場価格から逸脱する取引は、税務調査の対象となりやすいです。
- デューデリジェンスの欠如: 評価報告書や明確な評価根拠がない場合、ANAFは独自の基準で評価を行い、その結果に基づいて課税を修正する可能性があります。
したがって、譲渡価格の設定においては、独立した専門家による評価を取り入れ、十分に根拠のある価格を設定することが、税務上のリスクを軽減するために非常に重要です。
譲渡コストとタイムラインの比較
SRL持分譲渡にかかる費用と時間枠は、譲渡の複雑性、弁護士や公証人の関与の有無、会社の状況によって大きく変動します。
費用の内訳(目安)
| 費用項目 | 説明 | 金額の目安(RON、VAT別) |
|---|---|---|
| 公証人費用 | 公証通知、自己宣誓書作成、契約書の公証(任意) | 500 RON - 3,000 RON (書類の種類と価格による) |
| 商業登記所 (ONRC) 登録料 | 設立証書変更、パートナー変更の申請手数料 | 250 RON - 500 RON (申請内容による) |
| 翻訳費用 | 外国語文書(パスポートなど)のルーマニア語翻訳(必要な場合) | 50 RON - 150 RON / ページ |
| 評価会社費用 | 持分の公正価値評価(任意) | 2,000 RON - 10,000 RON (会社規模による) |
| 会計士/税理士費用 | 税務アドバイス、デューデリジェンス、税務申告支援 | 1,000 RON - 5,000 RON (アドバイスの範囲による) |
| その他(宅配便、通信費など) | 100 RON - 300 RON | |
| 合計(税金含まず) | 9,000 RON - 50,000 RON+(ケースによる変動大) |
注:上記の金額はあくまで目安であり、2026年時点の物価変動や専門家の報酬体系により変動します。VATは別途加算されます。
タイムラインの目安
| ステップ | 所要期間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ステップ1: 事前確認・DD | 1週間 - 4週間 | 複雑な会社ほど時間がかかる |
| ステップ2: パートナーへの通知・先買権 | 30日(法定期限) | 通知後の返答を待つ期間 |
| ステップ3: 譲渡契約書作成・締結 | 1週間 - 3週間 | 交渉、公証(任意)を含む |
| ステップ4: 株主総会決議・設立証書変更 | 1日 - 1週間 | 総会招集は数日前に通知要。決議後、設立証書の作成まで |
| ステップ5: ONRC登録 | 3営業日 - 7営業日(申請・処理期間) | 決議後15日以内に申請が必要 |
| ステップ6: ANAF通知・税務申告 | ONRC登録後 - 翌年5月25日 | ANAFへの変更通知はONRCが自動で行うことが多い |
| 合計期間 | 最低約2ヶ月 - 4ヶ月以上 | 事前準備と交渉の期間によって大きく異なる |
注:上記は一般的な目安であり、書類の不備、ONRCの混雑状況、パートナー間の合意形成の難易度などにより、期間が延長される可能性があります。
コンプライアンスチェックリスト:確実に譲渡を完了するために
SRL持分譲渡のプロセスにおいて、法的なコンプライアンスを確保するためには、以下のチェックリストが役立ちます。
事前準備とデューデリジェンス
- 最新の設立証書(Act Constitutiv actualizat)を入手し、譲渡に関する特別条項を確認したか?
- 譲渡の対象となる持分の正確な数と割合を特定したか?
- 譲渡人が持分を合法的に所有していることを確認したか(商業登記所記録、発行記録など)?
- 会社の財務状況(債務、資産、収益性)および税務状況(未払い税金、申告義務)を把握したか?
- 譲渡の目的(例:新規投資家の導入、パートナーの退任、事業承継)を明確にしたか?
- 独立した持分評価が必要かどうかを評価し、必要であれば専門家を選定したか?
法的要件の確認
- Legea 31/1990第202条(2)に従い、第三者への譲渡には資本金の4分の3のパートナーの同意が必要であることを理解しているか?
- 他のパートナーの先買権(優先購入権)を考慮に入れているか?
- 譲受人が個人の場合、ルーマニアでの活動に対する法的制限(例:破産者、特定の犯罪歴)がないことを確認したか(自己宣誓書で対応)?
- 譲受人が法人の場合、その法人がルーマニアで事業を行うための法的資格(例:設立登録、活動許可)を有していることを確認したか?
通知と合意形成
- 他のパートナーに対し、譲渡の意向と条件を書面で正式に通知したか?
- 先買権行使のための30日間の期間が適切に確保されているか、または期間内の明確な放棄が得られたか?
- 新しいパートナーの受け入れについて、すべてのパートナーが合意しているか?
- 譲渡価格および支払条件について、譲渡人・譲受人双方で合意形成がなされたか?
契約書と文書作成
- 譲渡契約書をルーマニア語で作成し、当事者の完全な詳細、譲渡される持分の詳細、譲渡価格、保証、表明、責任条項を含んでいるか?
- 譲渡契約書が公証されているか(任意だが推奨)?
- 株主総会議事録(またはパートナー総会決定書)を作成し、譲渡の承認、新パートナーの受け入れ、設立証書変更の決議を含んでいるか?
- 最新のパートナー構成を反映した統合版の設立証書を作成したか?
- 新しいパートナーの自己宣誓書(notarial declaration of good standing/absence of incompatibilities)を取得したか?
商業登記所 (ONRC) への登録
- 株主総会決議の日から15日以内に、ONRCに必要書類を提出したか?
- 提出書類がすべてルーマニア語であり、外国語文書には法的有効な翻訳が添付されているか?
- 登録料の支払い証明書を提出したか?
- ONRCからの追加情報要求に迅速に対応したか?
- 登録が正常に完了し、公示されたことを確認したか?
税務およびANAFへの通知
- 譲渡人(個人)の場合、翌年のDeclarația Unică(一括申告書)で譲渡益を正確に申告する計画を立てたか?
- 譲渡人(法人)の場合、譲渡益が適切に会計処理され、法人税または小規模企業税の計算に含まれているか?
- ANAFへのパートナー変更の通知が適切に行われたか(ONRC経由または別途申請)?
- 譲渡にVATが適用されないことを確認したか?
このチェックリストを順に進めることで、譲渡プロセスの法的・行政的要件を満たし、スムーズかつ合法的な完了が可能となります。
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FAQ (よくある質問)
Q1: SRLの持分譲渡は、必ず公証役場で行わなければなりませんか?
A1: ルーマニア法上、SRLの持分譲渡契約書自体を公証することは必須ではありません。当事者が署名した私文書(act sub semnătură privată)で有効に成立します。ただし、以下の理由から、多くのケースで公証役場の関与が推奨されます。
- 署名の真正性の保証: 公証は、契約書に署名する当事者の身元と署名の真正性を公式に証明します。これにより、将来的な署名の偽造や無効の主張を困難にします。
- 日付の確定: 公証された文書は、その日付が確定されます(data certă)。これは、法的効力の発生時期を明確にする上で重要です。
- 外国籍の当事者の場合: 外国籍の個人または法人が関与する場合、公証は特に有用です。身分証明書の検証や翻訳の認証など、国際的な取引において信頼性を高めます。
- 自己宣誓書: 新しいパートナーが提出する、Legea 31/1990の要件を満たすこと(例:犯罪歴がないこと、特定の職務との非互換性がないこと)を宣誓する自己宣誓書(declarația pe proprie răspundere)は、公証役場で作成することが義務付けられています。 したがって、契約書自体の公証は任意ですが、一部の関連文書は公証が必要です。
Q2: パートナーが先買権を行使しない場合、その拒否は書面で必要ですか?
A2: はい、譲渡人が第三者への譲渡を進めるためには、他のパートナーからの書面による先買権の放棄または拒否を得ることが強く推奨されます。法定期限(通常30日)が経過し、書面での回答が得られない場合でも、譲渡人は引き続き他者への譲渡を進めることができます。しかし、後に他のパートナーが「正しく通知されなかった」または「拒否の意思表示をしていない」と主張するリスクを避けるため、明示的な書面での放棄や拒否の意思表示を得ることが